今治、砥部、丸亀、鳴門、いの町。
四国の地図に並ぶこの町の名前は、どれも食べ物ではなく道具の産地です。タオル、器、うちわ、藍染、和紙、刃物——瀬戸内の水と太平洋側の森に挟まれた四つの県には、暮らしの道具を作り続けてきた町が点在しています。
北海道の海と牧場、東北の田んぼと埋めてきたこの地図に、今回は初めて「食べない取り合わせ」を置きます。届いて食べて終わる消え物と違い、工芸品は台所と食卓に残って毎日働く返礼品です。タオルと器とうちわと刃物——揃えていけば、食卓まわりの道具一式が四国の手仕事に置き換わります。
だから選び方の物差しも食とは変えます。旬や量目ではなく、「毎日使うか」「手入れが要るか」。まず、毎日手が触れるものから話を始めます。
愛媛県:今治タオルと砥部焼、水と陶石の町
今治市は国内を代表するタオル産地の一つとして知られています。高縄山系からの伏流水が軟水で、糸を晒す工程に向いていたことが産地の背景として紹介されます。今治タオルのブランド認定には、タオル片を水に浮かべて5秒以内に沈み始めるかを見る吸水性の試験があることで知られ、「拭く道具」としての実用を基準で確かめてきた産地です。
同じ愛媛の砥部町では砥部焼が作られています。地元で採れる陶石を原料にした磁器で、白磁に藍色の絵付け、厚手で欠けにくい作りが特徴として語られます。飾って眺める器というより、毎日の食卓で洗って使い続けるための器です。
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香川県:丸亀うちわ、門前町の手仕事
丸亀のうちわ作りは、江戸時代に金毘羅参りの土産として広まったと伝えられています。丸亀市周辺は現在も国内のうちわ生産の大部分を占める産地とされ、竹を割いて骨を作り、紙や布を貼る工程に手仕事が残ります。
冷房のある暮らしでも、うちわには湯上がり、台所仕事、停電時の備えと出番があります。骨が竹の一本柄で作られているか、貼りは紙か布か。長く使う道具として見るなら、そこが確かめどころです。
徳島県:阿波藍と大谷焼、吉野川の恵み
徳島平野を流れる吉野川の流域は藍の栽培に適した土地で、江戸時代には藍の産地として栄えたと紹介されます。阿波藍で染めた布は使い込むほど色が落ち着いて育つといわれ、手ぬぐいやストールなど日々使う布ものが返礼品でも扱われています。
鳴門市の大谷焼は、大きな甕や睡蓮鉢で知られてきた焼き物です。現在は日常の器も作られており、藍染の布と合わせると、徳島の土と水がひと組になります。
高知県:土佐和紙と土佐打刃物、清流と森の道具
高知の和紙作りは、仁淀川流域のいの町周辺が産地として知られています。清らかな水と、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)といった原料に恵まれ、薄くて強い紙を漉く技術が受け継がれてきたと紹介されます。便箋やランプシェードなど、暮らしに置ける形の返礼品があります。
土佐打刃物は、山仕事の道具の需要と結びついて発達したと語られる鍛造の刃物です。包丁なら、鋼(はがね)製かステンレス製かで日々の手入れの手間が変わります。切れ味の鋭さで語られるのは主に鋼のほうです。
一揃いの組み方:毎日使うものから、手入れの要るものへ
消え物と違い、工芸品は「届いたあと」が長い返礼品です。だから迎える順番は、使う頻度と手入れの手間で決めます。
最初はタオルと器。毎日使う場面が確実にあり、手入れは洗うだけです。次に、うちわや和紙の小物のような、季節や場面で出番が来るもの。最後に刃物と藍染——手入れの習慣が要るぶん、道具として育っていくものを迎えます。
この土地に合わせるなら、砥部焼の器の最初の盛り付け候補は讃岐うどんや土佐の柑橘といった四国の食です(四国の食の取り合わせは、また別の回で埋めます)。また、道具からものづくりの土地を選ぶ楽しみは、燕三条に代表される工業製品の側にもあります。手仕事の工芸と工場の量産技術では、同じ道具でも見る基準が変わります。工業製品側の基準は家電の返礼品の選び方に整理してあります。
四国の工芸品、どう使って、どう選ぶ
県ごとに「使う楽しみ」と「迷わない選び方」を並べます。
| 品目 | 産地 | 使う楽しみ(暮らしでの働き) | 迷ったらこう選ぶ |
|---|---|---|---|
| 今治タオル/砥部焼 | 愛媛県 | ふわっと肌に吸いつくタオルの一枚、洗うほどに馴染む器の手ざわり | タオルは吸水性の記載、器は厚手で欠けにくいかを見る |
| 丸亀うちわ | 香川県 | 湯上がりにあおぐ風は、機械の風と違う涼しさがある | 骨が竹の一本柄か、貼りは紙か布かを確認 |
| 阿波藍の布もの/大谷焼 | 徳島県 | 使うたびに色が落ち着いていく、育てる楽しみのある一枚 | 色落ちしやすいので、最初は単独で洗う前提で選ぶ |
| 土佐和紙/土佐打刃物 | 高知県 | 薄いのに丈夫な紙の手ざわり、鋼の刃が野菜をすっと通す切れ味 | 包丁は鋼かステンレスか、手入れの手間で選ぶ |
※一般的に言われる傾向であり、個々の返礼品の品質を保証するものではありません。返礼品ごとの記載を確認してください。
合う人・合わない人・注意点
長く使う道具を産地で選びたい人、消え物以外の贈答品を探している人には向いています。棚や引き出しに新しい道具の置き場所を作れるかどうかが、食の返礼品にはなかった分かれ目です。
一方、返礼品に日々の食費の置き換えを求める人には向きません。工芸品は食卓を直接埋めないため、実用の手応えが出るまでに時間がかかります。手仕事の品は同じ品名でも一点ごとに風合いが異なるため、写真との差を個体差として受け止められない場合も不向きです。
注意点は二つ。藍染など染物は、使い始めの洗濯で色落ち・色移りが起きることがあるため、最初は単独で洗うのが基本です。もう一つ、寄付と控除の仕組みは食の返礼品と変わらず、2026年度の制度に基づいて上限内で組み合わせる点も同じです。
まとめ:次にやること
最初の一枚は、今治タオルから始めるのが定石です。毎日必ず使い、良し悪しが手で分かり、置き場所にも困りません。タオルで「使い続ける返礼品」の手応えを確かめたら、器・うちわ・刃物へと手入れの度合いを一段ずつ上げていってください。四国の取り合わせは、食べる前にまず道具から埋まり始めます。
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